28.クリスマスツリーの今昔

以前、「クリスマスミュージアム」という場所が函館にありました。レンガ倉庫群のひとつに回廊のような展示室があって、昔ながらのクリスマスの風物を国別に並べていたのです。中でも興味深かったのは、ツリーの歴史。冬至=太陽が姿を隠す日は、古代の人々にとって怖ろしいものでした。暗く寒い夜が支配する季節の過ぎ越しは、神話や宗教の中で「死と再生」の象徴になり、やがてキリスト教の祝祭に受け継がれたといいます。その頃から、常緑樹は絶えない生命の象徴と考えられていたようです。

展示によれば、ツリーにオーナメントを飾るようになったのは、16世紀ころだということでした。宗教者ルターが常緑樹の間に輝く星を見て樅の木にキャンドルを飾った、あるいはアダムとイブの聖史劇の中で樅の木にリンゴを飾った、樅の木の小人に飾り物を供えたなど、諸説多々。当時のツリーの復元品は、枝にクリップでろうそく受けをつけて白いキャンドルをともしただけの素朴さ。それが何とも清々しくて、まるで人々が寄り集まって火を囲んだ姿が見えるようです。その後ガラス玉のオーナメントが生まれ、アメリカでセルロイド製が作られるようになったり、第二次大戦中は質素なものに変わったりしながら、19世紀末に日本にも伝わったそうです。このミュージアムはもうありませんが、今ではレンガ倉庫群の目の前に、生木を使った「本物の」ツリーがカナダ・ハリファクスのツリーファームから届きます。

21世紀のツリーはといえば、やはりエコロジーを意識したもの。ツリーの畑(!)で環境保全の視点で栽培された木には、認定ラベルがついていると聞きました。NY名物のロックフェラーセンターのツリーも、LEDライトに変わったとニュースが報じています。世界的な行事だけに、昔ながらとはいかないようですね…。

所変わってアンジュでは、11月末から恒例のクリスマス支度が始まっています。ツリーになるもみの木は使い捨てでなく、外で一年養生してまた秋が来ると鉢に上げて使うのです。枝を飾るのは、家族や友人たちから贈られたオーナメント。そのひとつひとつに楽しい思い出がこもっているのだそうです。、

冬の朝が雪の照り返しでまぶしくなる頃、札幌のクリスマスはやってきます。

 

窓の外にほら、また雪が降ってきました。


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