「Column 深江 園子」カテゴリーアーカイブ

2.お菓子なパン

◆ヴィエノワズリーって何?

お菓子屋さんで作られる、ブリオシュやクグロフなどバターたっぷりのイースト菓子。見た目にも美しくて、いかにもパティシェの作るパンという感じです。思わず噛みそうなこの言葉の中には、Vienna(ウィーン)というつづりが入っています。

◆ウィーン風がブームだった?ルイ王朝

フランスのパンなのに、なぜウィーン?それはマリー・アントワネットのお輿入れによって、フランスにウィーン風の料理や服飾のスタイルが一気に広まったから。主食のパンとは一線を画す、お砂糖やバターをふんだんに使ったイースト菓子は、当時は洗練された貴族だけのもの。贅沢な暮らししか知らないアントワネットが、飢えた民衆のことを「パンがないならブリオシュを食べればいいのに」と言った逸話には、こんな背景があったのです。

そんなわけで、今もヴィエノワズリーはパン屋さんではなくお菓子屋さんの仕事。パリではボストックの元祖をうたうお店、サヴァランの有名なお店など、それぞれに名物的な看板商品になり愛され続けています。日本でもコンビニでクイニー・アマンを売ったり、ギフト用にプチサイズのヴィエノワズリーがあったりと、すっかり定着しました。貴族の食べたヴィエノワズリーも、今や日本独特の「菓子パン」のジャンルに上手く取り込まれた感じですね。

1.コンフィズリー

ホワイトデーから春先にかけては、お菓子屋さんでギフト用のスイーツがたくさん作られる時期ですね。パティスリー(生菓子)、ヴィエノワズリー(お菓子屋さんのパン)に加えて、ここ数年日本でも「コンフィズリー」が注目されています。

◆砂糖の芸術、コンフィズリー
コンフィズリーとはキャンディやヌガーなど、甘くて色とりどりの砂糖菓子。砂糖には保存性を良くしたり固めたり、ツヤを出したりとさまざまな働きがあり、熱を加えることによって美しいお菓子に変身します。最近日本でも定着してきたのがムラング(乾燥焼きしたメレンゲ菓子)、ギモーヴ(フルーツピュレを使ったマシュマロ)、ブルターニュ風に塩を利かせた甘塩っぱいキャラメル・サレなど。札幌には飴細工の世界的な大会で受賞したパティシエが2人いらっしゃいますが、飴で作ったバラの花などはウエディングケーキやアントルメ(ホールのケーキ)の飾りにも使われますね。
同じく婚礼のお引き菓子に使われるドラジェ(砂糖衣をかけたアーモンド)もコンフィズリーの一種です。

◆コンフィズリーの宝石、パートドフリュイ
昨年市内のある果樹園に伺って「大石中生」という香りの素晴らしいプラムを食べる機会に恵まれました。ジューシーで大きな卵ほどもある、ピンクの果実です。生で食べても十二分に美味しいこのプラム、お菓子にしたらどんなに素敵だろう…そんな事を思いながら帰ってきました。美味しいプラムとの出会いが嬉しくて聖子さんにお話ししたところ、早速作ってくださったパート・ド・フリュイは美しいピンク色。パート・ド・フリュイはゼラチンを使わずにペクチンと砂糖の力で固めるフルーツの宝石。果物のペクチン分によって配合を調節し、固さを見ながら手早く煮詰めるところがプロの技です。他のお店よりも柔らかな口溶けのパートは、それはそれは美味しいものでした。